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安達正興のハード@コラム

 ハンガリーとEU( 2012年 1月 18日 水曜日

●ブタペスト騒然


経済危機のハンガリーでデモが広がっている。まず背景を整理しておこう。
ハンガリーは1989年10月まで、ソヴィエト連邦下の共産国であった。独立して22年、ついこのあいだのはなしである。このとき新しい憲法を作って多党制の共和国として出発したのだが、社会党政権から今は右派のフィデスFideesz 党(ハンガリー市民同盟)が政権にある。

さて、ハンガリーはギリシャ債務危機の影響で、はやり目の経済がたたり目になり、昨年EU に金融支援を要請した。ハンガリーはEU加盟国だがユーロ圏ではなく自国通貨フォリントを使っている。債務はGDP比82%、通貨フォリントは対ユーロで新記録の安値を更新した。フォリントなんて聞いたことがない?ハイ、それほど国際的には通用しない弱小通貨である。ハンガリーは、EU支援を要請しておきながら、EU憲法(正式には条約)やEU規則に抵触する新憲法を制定、今年1月1日から行使した。

●権威主義的な新憲法
この新憲法は、オルバンViktor Orban首相が率いる保守右翼与党の権力維持の臭いがする、いわば共産主義的あるいは帝国主義的憲法に逆戻りする条項が盛り込まれている。


●EU(欧州連合)vs ハンガリー
なんだか中国のメディア、言論規制と、政府と中銀の一体化政策と酷似していますね。ブタペストではデモが続く中、17日、欧州委員会のバゾーロ委員長がE U規則に整合するよう中銀法を一ヶ月以内に改めない場合は欧州司法裁判所(ECJ)に提訴する所存と発表した。ま、出身国では次官クラスの男が任期5年もEU委員長として威張る規則も変えてほしいね。デモっていたハンガリー人にさえ「オレの国の憲法が悪法だろうと、他所から文句言われる筋合ははない」といった非難がでるありさま。しかし、加盟組織の規則を守らないなら脱会すべしであって、怒る市民も悩ましい。

さて、どうなりますやら。オルバン首相は駆け引きがマジャール的で、チビチビ、譲歩を重ねて物事をまるく治めてきた政治家である。EUとしては脱EU国が出ることを、ギリシャでさえも避けたい。EUとオルバンはいずれ妥協し、IMFとEUは200億ユーロ支援を週末にも決定するだろうと観測筋はみている。(了)


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安達正興のハード@コラム
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