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安達正興のハード@コラム

 爆破と虐殺、ノルウェーテロ(6)( 2011年 8月 2日 火曜日 )

●計画通りに進んだプラン B
プランBが実行された内閣府の爆破と労働党青少年キャンプ地ウートイア島の虐殺であったことは既に書いた。標的でもあったブルントランド前首相は30分前に島を離れて助かった。内閣府の高層建物は外形を保ったものの内部破損が酷く建て替えが必要。幸い夏休み中であったっため、あの大きなビルで犠牲者が8人で済んだ。しかしそれはブレイヴィクの知るところであるから、プランBは計画通りに進んだといえる。

●プランAは王宮が主要目標
資金が準備できず諦めたプランBが何であったか、マニフェストに書かれていないので不明だったが、聴取で労働党の本部ビルのほか王宮が目標であったことが報道され、国民を震撼させた。空想は際限を知らず、表向きを平常に装い通しているが、9年かけて計画したテロ実行の月が近付くと、周囲との関係を断ち薬とネットのヴィでオゲームWorld of Warcraftに耽溺、バーチャル世界の目で敵の都市を爆破したり自動ライフルを乱射し敵を一人ずつ見つけては撃ち殺すことに使命感を覚えるのである。

●「任務は遂行された」と警察に電話
ウートイア島からブレイヴィク自身が警察に電話したことを警察が明かした。報道ではMission was completd「任務は遂行された」といった由。戦争ゲームのヒーローを気取っている。重症患者には両脚片腕を切断された15歳の少年、両足を切断された内閣府勤務の女性がいる。だが、ブレイヴィクには生身の人間、現実社会への感情がない。聴取では精神鑑定人を外国人にと要求したり、服装にこだわるナルシストである。

テロ研究の学者によると、世界を善悪2極に単純化し、悪を滅ぼす戦争と殺人、褒美の勲章を胸に飾るのは戦争ゲーム共通の特徴という。そういえばマニフェストの最後に掲載の高画質ポートレートにはフリーメーソン会員の正装なのか、勲章だらけのナルシスト写真が各紙に出たのでご承知だろう。

●嘘で飾った自歴
ブレイヴィクは自分を成功した人間、オスロの高級住宅ベスト地区に育ち住み、収入と広いコネを持つとネットに書いているがウソ。ベスト地区には住んでいたが、ベスト環境とは程遠い。離婚している疎遠の実の父はテロリストの息子は死んだ方がよかったと会う気はなく、参考人として聴取に応じた育ての実母は面会を拒否、ショックのあまり身を隠した。息子の側でも母と会うことに興味がないという。息子の異常を何も知らなかったとは母らしからぬ母だ。ブレイヴィクは独りよがりの孤独な生を、吐き気のする孤独なバーチャルの世界で悪を滅ぼす救世主になったのである。

サラリとここまで書いてきたが、吐き気をもよおす。愛なき家庭であろうが、孤児であろうが大成した人物はいくらでもある。クリントン前大統領は恵まれない暴力家庭に育ち、川端康成は孤児だった.ブレイヴィクは孤児的環境を悪に利用したような男。そのマニフェスト1500ページを私は通読したわけではないが、馬鹿馬鹿しくて読み飛ばすかは吐き気のする独白である。(続く)





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幕末の奈良まちに生まれた奇豪
宇宙菴 吉村長慶
発売日 2011年6月26日
著者 安達正興
出版 奈良新聞社
装丁 カバー付き 上装本
体裁 B5版 縦2段組み 
   本文316ページ フルカラー
価格 3,750円(税込み)

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