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安達正興のハード@コラム
◆ 爆破と乱射、ノルウェーテロ(5)( 2011年 7月 28日 木曜日 )
ブレイヴィク自身の書いたパートは大半が荒唐無稽な欧州のイスラム歴史分析とと将来の展望、記述興味を引いた箇所を書き出し、実際にブレイヴィクがやったテロと合致しないことを逆証してみる。
●テロリストであることを隠せ
『真の目的を見せない仮面をかぶること。真の狙いが達せられるまで容認されるウソの目的を言っておく。これは「フェイントかける」と呼ぶ知られた技法:彼は西を向いていると人に思わせ、実際の目的は東にある。周囲が君は西を向いていると理解するなら、君の目的は既に達せられたといえる』
− 内閣府(機能的には首相府より適切な訳)爆破とウートイア島虐殺の目的は接触のあった極右組織や討論サイトにも知られず、知人は誰一人予想だにしなかった。しかしブレイヴィクは書いているように逆の目的を語ってフェイントをかけたのではなく、農家の納屋に閉じこもり、周囲に自閉するようになった。
●自殺はエゴ、殉教は無私の行為。逮捕されたら……
『自殺は絶対に正当化されず、言い訳出来ない恥じるべき利己的で卑劣な行い』『自殺は自己の痛みから解放するもので、家族友人や仲間を省みず、エゴイズムである。それに反して殉教の家族友人や仲間、国家、文化とキリスト教を護る無私の細道である。我等の守護聖人・リッダの聖ジョージこそはキリスト教の英雄だ』
『もし何らかの理由で決行から生き延び逮捕されると、ヒロイックな騎士は諦念する。しかしそこで終ってはならない。君の逮捕はプロパガンダ局面の始まりである』
− ウートイア島に上陸した警官隊の第一声でブレイヴィクは銃弾をまだ多く持っていながら両手を頭上に上げて投降した。生き延びてしまって捉えられたのではなく、明らかに殺されたくないために投降したのである。彼が一才のとき離婚し、殆ど交流のないた父親は南仏の引退居宅で」(殺戮前に)自殺してくれれば良かった」ともらしている。親子関係を断絶した父、は息子の人格を何もわかっていないようだ。
●現実社会が見えなかった戦争ごっこの32才
ブレイヴィクは「ウートイアまで辿り着けるとはおもっていなかった」また「審理法定への途中で銃撃されると思っていた」と弁護士に話している。要するに現実社会への認識がまったく出来なかった。だからムスリムの移入による多文化政策を進める政府をテロるのは正当と思い込むので、現実社会の在り様を認識できないのは当然といえば当然。。
自分を殺害した人数を聞いてその多さに驚き、警察に撃ち殺されなかったことを意外と感じる。刑量は、一番重くても人権に対する罪(未だ適用された例がない)が30年、殺人罪(大方の見方)なら最長21年である。そのうえ犯行時点で精神異常と認められると無罪、数年で刑務所内の精神病棟を退院することになる。薬物とコンバットのヴィデオゲームに明け暮れ、当日は特に多く薬物を服用していたので論議をよぶだろう。鑑定はまず警察から、弁護士からも裁判官からも要請できる。
自分の住む国の現実社会の寛容さに今更おどろいたというバカ。勾留期間を決める初めての法廷審理でもテロの正当性を主張するほどでもなく、PCCTSの制服着用を拒否されたことにも文句をいわず、紳士的な審理に満足していた。所詮、ショウヴィニストは内容が伴わない。(続く)
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幕末の奈良まちに生まれた奇豪
『宇宙菴 吉村長慶』
発売日 2011年6月26日
著者 安達正興
出版 奈良新聞社
装丁 カバー付き 上装本
体裁 B5版 縦2段組み
本文316ページ フルカラー
価格 3,750円(税込み)
安達正興のハード@コラム
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