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安達正興のハード@コラム
◆ 電力事情、パキスタンの例〈 2011年 7月 17日 日曜日 )
●電力事情日本の底力
夏場を待たずに6−7月に何度も真夏日があった。それにも拘らずいまのところまだ「停電」もしないで全国の家庭に電気が灯る。フクシマ後でありながら日本の電力事情は見上げたもの、インフラ整備の優秀な国である。そういうと「とんでもない、事情は切迫している、キミは判っとらん」とドヤされそうだが、停電が日常茶飯になっている国ならなんぼでもあります。そういう慢性的電力不足に悩む国民からみれば、原発の半分近くが稼働していなくても、どうにか供給できる日本は天国に映るにちがいない。
●慢性的停電の国々、パキスタンの例
例えば、電力よこせのデモが日常茶飯となったパキスタンの電力事情をおさらいしてみよう。この国の産業が伸び悩み、経済が最悪のままである元凶は電力不足の一語に尽きる。メナジルのパパ・ブットが首相の頃から電力は充分でなかった。以後、国内で産出するガスを利用したガス発電が盛んになったが勃興する産業(繊維町工場)の需要に追いつかない。電力がなければ新産業の余地はない。
最近はまた悪くなり、2008年カラチでは毎日平均3時間に停電だったのが、2010年に1日平均6時間にのび、酷い地方では16時間あった。それも何時電気が切れるかわからず、何時に通じるのか知らされない。これではディーゼル自家発電装置で自衛できる限られた優良企業のほか、納期に合わせた計画生産が不可能だ。
●原発前での暴動
今月4日、パンジャブ州の原発(中国製)前で行われたデモは死者を出す暴動になった。核兵器を保有するパキスタンの原発は現在4基あり、電力生産の2%を賄っているに過ぎず、国の送電線で首都に行く。デモは地元に電力を要求する当該市民のデモだった。
●貧国と富国で違う電力料金算定法
急遽、供給力を増やそうとすれば火力発電用に石油を輸入する。その石油が近年の高騰で思うように進まない。というのは増えた生産原価(人件費、広告費から退職金まで総て含む)に利益を乗せて電力料金を決める日本の殿様方式は例例外中の例外で、開発途上国では低政府の指導で自由にはあげられない。開発途上国の政府は国民の不満解消に電力代やガソリン代を補助金漬けにするのが共通の政策である。
●たこ足配線で盗電
パキスタンには民間の電力会社もあるが、当然赤字増産に乗り気がない。需要に見合った電力生産が解消されない理由。もう一つの理由はインドやバングラデッシュでも盛んな「盗電」だ。電柱送電線から不法に「たこ足配線」で家に引っ張る。カラチ電力社の30%が盗電という。ついでに一言、日本の電力会社は地区モノポリーを満喫し消費者から「盗電料金」の様相あり。(了)
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『宇宙菴 吉村長慶』
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著者 安達正興
出版 奈良新聞社
装丁 カバー付き 上装本
体裁 B5版 縦2段組み
本文316ページ フルカラー
価格 3,750円(税込み)
安達正興のハード@コラム
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