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安達正興のハード@コラム

 インフレに苦しむ中国〈 2011年 6月 15日 水曜日 )

●インフレを忘れた/知らない日本人
日本は空白の10年が始まって以来デフレ傾向の国にあるため、市民がインフレに神経を尖らせることがなかった。景気を良くしろ、そのためにも緩やかなインフレ傾向に転じてほしいのだがゼロ金利、デフレ傾向は変わらない。しかし消費者物価が安定していることは,石油や電気代の高騰や生鮮食品の季節的高騰がるが、家計を預かる主婦の精神安定にたいへん良い効果がある。中国では様相が一変する。

●中国、諸費社物価上昇
火曜日、中国統計局が発表したCPI(消費者物価)は5月前年同月比で5.5%、34カ月ぶりの上昇という。食料品は11.7%、ブタ肉は40%も上昇した。食費に占める家計が増えると遊興費を切り詰めて凌げる層はマシ、食ってゆくだけでカツカツの地方人は死活問題である。5月は旱魃と洪水で農産物が甚大な被害を被ったことが食品物価高の直接原因だが、3カ月連続して5% を超えている。旱魃と洪水のせいではないのが問題点。7月はおそらく6%を破るだろう。

●経済政策にぬかりはないが
中国政府は金融政策が他国よりはるかに実行しやすい体制をもっている。インフレ抑制に打つ手厳しく臨んでいる。金利を昨年10月から4度あげている。貸し出し金利6.31%、預金金利3.25%。専門家は来週にも引き上げがあると予測。RRR(預金準備率)も着実に昨年来10回くらい上げてきた。今月末か来月始めに人民元の対ドルレートも上げてきた。そうやって金融引き締めの手を効果的に売っているが、生産者物価はこの1年で6.8%上昇は大きい。工業生産は前年比13.3%も減少。中国経済のスロウダウンは愈々顕著になってきた。

●経済は自由を封印できない
中国が生産する製品のための輸入原資が国際的にますます高くなり、中国経済成長率の一桁時代がやってくる。鈍化する経済はビジネスマン、地方出身の都会労働者、農民の生活を圧迫し社会不安を醸成する。だからといって東独やソ連邦のようにメルトダウンする中国ではないが、一党管理の体制は一度でも国民統制が緩むと社会調整ができない。中国は現体制を維持しながら国民の信頼を失わないでいられるだろうか、言論の自由を封印して国民の信頼を得る方策などありはしない。(了)

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