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安達正興のハード@コラム

ベナジール・ブット暗殺、選挙日程は? 〈 2007年 12月 28日 金曜日 )

●ブット死亡に動転
臨時ニュースの知らせが入ったのでTVを見ると、ブット候補の選挙ラリーで爆発があり、ブットは集会を離れた後で無事。数日前同じ場所でシャリフのラリーで自爆があったが、シャリフは離れていて無事だった。それで、またかやれやれくだらん!と思っていたら病院で死亡したという速報が……か。エライこっちゃ、動転しました。

そのあと16時から近い親戚一同のクリスマス会があるので会場へ。食べ飲みして20時過ぎに帰り、暗殺の状況を知る。ケネディのような「その瞬間」の映像はないが、アイドルスターの警備じゃないんだからもう少し群衆を離さないと危険。日本なら警察トップの首が飛ぶぞ。でもブットとさんは人気スターだからね、高い動車の天井から顔だけ出して、歩く早さで進む。

●ブットに替わる人はなし
ベナジール・ブットについてこれまでスキャンダルが余りにも多すぎて賛辞を呈した事がないわたしですが、氏が亡くなってから気がつくと、アリャー替わりの人物がいない。2番手もいない。ムシャラフの替わりのほうが見つけやすいといまさら気がついた。

パキスタンの政局は読みやすいと自負し、シャリフの選挙参加、非常事態解除と、昨日までは正確にわたしの予想通りに進んできた。1月8日の総選挙は民主的に行われる道程がますます確実になっていたのです。しかもムシャラフとブットの役分担はウラで緻密に協議を重ねられ、選挙後の素早い組閣が見込まれていた。

カルザイはムシャラフとの会談後、ちょうど暗殺の前にブットと話し込んでいる。タリバンとそのシンパ対策である。そして暗殺がなければその夜は米のナントか議員さんと話し合う約束でした。ブットはプロ西側で、対テロ政策に積極的、なによりこの人のデモクラシーが売りになる。金をつぎ込んでいる米にとって、国民に人気のあるブットはムシャラフと力を分かち合う最良にして唯一のコマであり、安定勢力であり、米パを結ぶ架け橋なのでした。筆者は呟く:不正蓄財は独裁より受容やすし。

●正念場のムシャラフ
さて、窮地に立たされたムシャラフはどうするか。とりあえず服喪3日間の余裕を見て再び非常事態の必要があるか否かを見極める。既に各地で商店襲撃が起きている。ただ非常事態に入れば選挙が遅れるので容易ではない。かといってムシャラフが与党の有力者を首相に組閣したのでは暴動がおこる。ブットに代わる大衆人気がありしかもムシャラフ協力する(ようになる)人物でなければならない。そこから先はわたしなんかに見えません。

●ブッシュの次の手、ファヒムが有力
ブッシュ米はどうするか。これはもうハッキリしておりましてすでにブッシュ・ライス以下の合唱が聞こえるとおり:1)選挙を延ばすな。延期すればテロに屈した事になる。そのための根回しとして 2)選挙を予定通り実施するため、野党、法曹界、民主活動グループなどに働きかける。 3)同時に、米側からブットに代わるコレという人物をムシャラフに説得する。まずブットの留守中から人民党(PPP)党首であるファヒムが有力。(了)

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