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安達正興のハード@コラム

甦えるムシャラフの悪夢(1) 〈 2007年 8月 24日 金曜日 )

●ムシャラフ、クーデターの頃
パキスタン国軍のトップであったムシャラフ将軍がクーデターを起こしたのは1999年10月、ブッシュが大統領になる前だった。選挙戦中、候補者の知識ぶりを試すクイズがあり『パキスタンの新首相は誰』かと聞かれたブッシュは、『知らない、とにかく将軍だ』と答え、揶揄された。外国へは殆ど行ったことがないテキサス州知事のブッシュが国際問題に疎いのは当然で。それでもも大統領や首相は対処できる歴史認識があれば良い。オバマだって実際に米大統領になれば、言ってるように金正日と会談するなんてことはありえない。

その後アメリカは9.11を経験し、アフガンのタリバン掃討にパキスタンを重要な同盟国にする必要に迫られ、クーデターで権力を掌握したムシャラフと手を握ることになった。大きな敵と戦うためにに小さな敵、それまで経済制裁を課していたムシャラフを財政と武器支援によって味方につけた。で、いま大きな敵が復活すると小さな敵も復活したわけです。

●流血を好まない大統領にして軍の統帥ムシャラフ
ムシャラフがクーデターを起こした原因はわからないでもない。ナジリ・シャリフ首相が軍のNo.2と組んでスリランカへ出張中のムシャラフを突然解任した。ところが軍にはムシャラフ忠誠派が多勢で、急遽態勢を整えて帰国したムシャラフがカウンター・クーデターに成功した。解任されてから17時間の無血革命である。ムシャラフは血を見るのを極力避ける軍人で、自身が何度も暗殺計画に直面しながらテロ組織や国内タリバンに優柔不断である。イスラム武装派の揺籃、拠点である神学校突入以外は無理な攻撃をしていない。かえって治安警察官の死者がはるかに多い。

●追い出す人は追い出した人に追い出される
ナジャフはムシャラフを追い出したために逆に追い出された。そのナジャフが亡命先のサウジから戻ってくる。帰国を可能にした最高裁の決定であるが、その経緯はムシャラフが解雇にした最高判事(最高裁長官にあたる)チョウドリが最高裁の解雇違法判決で復帰、そしてムシャラフが最も見たくないシャリフの帰国を認める裁決をくだした。その間、約半年である。

ムシャラフはチョウドリ解雇で野党の反撥が激しく、イギリスに亡命中のブット元首相と事態の打開を話し合った。密談の内容はブットも明かさないが、今年10月に予定されている総選挙に帰国するだろう。そして互いに政敵のシャリフとブットが対ムシャラフで協力する。(続く)

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